ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.22
語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(インディアナ大学編)
こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。前回は知らない教授たちの前でのオーディション。知らない場所で5,6人もの世界的に有名な教授たちを目の前にしたオーディション、うわっ。。。。。。と早くも逃げ出したくなるように居心地は完全に悪い、部屋の雰囲気も重厚な歴史あるドアや教授の部屋の雰囲気と言ったら、ピリピリ、キリキリ、全く音のないシーンとした完全な閉ざされたクラシック音楽の世界。空気が張り詰めていて冷たい。。。簡単にはこの見知らぬ教授たちを自分のピアノで納得させるなんて不可能な雰囲気。それにしてもそんなに私の事を見つめなくても。。。部屋に入った瞬間から食い入るように私の外見、ふるまい、話し方、ピアノの椅子の座り方まで完全に見定めています。こちらの気持ちなんて関係なく彼らはとにかくこの大学院で鍛え伸びるだろうと思われる生徒の見定めの仕事をしているのですが、これでもかというくらい私を見つめられながらのインディアナ大学大学院のオーディション。結果は合格だったもののここからがアーカンソー以上の過酷な生活の始まりになりました。
大学の事務で入学願書の入力をする仕事、とにかく解雇されたくないからかなり頑張りました。あの巨大な大学に世界中から送られてくる願書の処理は私一人。他の人達はアメリカ国内の願書の入力をしていました。毎日毎日8時間みっちり入力して明日に持ち越しの願書は2つや3つくらい。今学期のインターナショナルの生徒の願書の入力が終っただろうと思われた時期に自分のボスから、’Akiko1人で今まで全部海外からの願書を入力した人は誰もいなかったよ、凄いね’と言われ、はあという返答くらししかできず。。。そのうわさがオフィス中に流れていたようです。悪いことではなかったのですがあまり注目されるのが好きではないので居心地悪く、ハハハと笑ってやり過ごし。。。後で聞いたところによると私のポジションはどうやら願書の入力が終ったら解雇されるはずの仕事。でもそんな事も知らず血相を変えて真剣にスゴイ勢いで海外の願書を入力した事で解雇されずに仕事をキープすることが出来ました。いやいや、解雇されるなんて私の生活はどうなるのよですよ、せっかく大学院に入学できたのに。スーパーマーケットで仕事をするわけにもいかないし(大学から少し遠いし行っている時間もないし、練習と勉強をする時間がなくなるし)仕事がなくなるなんて微塵も考えた事はなかったので驚きました。結果的に仕事はキープできたのは良かったけど、でも一生懸命仕事をして今までにない実績を作っておいて良かった、と思いました。(かなり大変だったけどね。)
そして大学院入学前の試験、あーまた勉強か。試験の情報が全くなかったので玲子先生に聞いてみたら’Burkholderという人の教科書を読んだら?’と言われました。その本の著者はこのインディアナ大学にいるとの事。なんだか偉くて凄い人たちがいっぱいいるんだなあ、この大学は。音楽図書館に行き彼の教科書を見つけ読みましたが何を覚えていいのか全く分からない。(まさか教科書1冊覚えろと?)入学してから勉強しなおせばいいかな(かなり呑気)。。。
試験当日。音楽史、音楽理論、ピアノを弾きながらの歌の試験がありました。テストはとてつもなく難しくもちろん音楽史と音楽理論は入学してから取らなければいけないクラスになりました。
学校が始まる前にクラスの登録や生徒IDカードの作成、練習室の確保などやる事が色々ありました。ピアノの大学院の生徒はなんと鍵のかかったスタインウェイのピアノ室を1日3時間使用できるとの事💖 それの予約をしに練習室専用のビルに行き事務の人と話をしながら予約終了(早い者勝ちの予約なので一目散に行きました。スタインウェイの部屋での飲食は✖。見回りがいて見つかったら即退去。ピアノの傷などが発見された場合には部屋をシェアしている生徒で修理代負担との事)。生徒IDカードを作りにキャンパスを横断して(アーカンソーの大学の5倍くらい広いキャンパスでボーリング場、ヘアサロン、結婚することが出来るチャペルや遠方にいる生徒のご両親が泊まれるホテル、フードコートなどがキャンパスの中にありました。)無事に作成終了。玲子先生のレッスンを取るのも自分の希望した曜日や時間帯を取りたいので、これも早い者勝ちで予約終了。全ての手続きを終わってから又学校の事務で願書の入力の仕事。ボスと話をし学校が始まるまでは1日8時間、始まってからは5時間の仕事という事で決まりました。
学校が始まった1日目。自分が登録をしたそれぞれのクラスに行き教授からこの学期に何の勉強をするかの説明を受け、どのテキストブックを購入しなければいけないのかなどの話を聞きクラスは終了。あるクラスでは教授の話を聞いているうちに’うわっ、このクラスは手に負えないかもしれない、どうしよう。。。’そういう予感が強い場合には即座に別のクラスに変更をしなければなりません。学校が始まって1週間のうちにクラスを変更すれば変更代金はかからないけど、1週間後には1クラス変更するたびに10ドルかかる。。。お金がタダでさえないのに誰がそんな事に払うかっ、です。私も含め生徒たちは如何に簡単な授業を取るか(勉強に時間を費やしたくないから)、そして如何に練習に時間を注げるかに焦点を当てていました。
どのクラスに行ってもですが韓国人がかなり多い、日本人は全くと言っていいほどいない。他はアメリカ人かヨーロッパの人がちらほら。日本語はアーカンソーにいた時から殆ど使っていなかったし使う機会もなかったので、まあこんなものかという感じ。
ある日音楽史の初めてのテストがあり非常に難しく、終わってから’んんん~かなりまずいなあ、全然出来なかったどうしよう。。。’と考えながら終わったものは終わったもので、数週間後にテストが返されました。返す前に教授は生徒たちの前で’今回のテストの平均はC-。’ 生徒たちのどよめきは凄く、私も背筋が凍り付きました。やっぱり予感が当たったか。。。自分のテスト用紙が返ってきて、結果はもちろんC-。
このままでは奨学金を全額失います。この時点でアメリカ生活でこんなに怖い思いをした事はなく音楽史のクラスが終ってから教授の部屋へすぐ直行。私だけでなく他の生徒も慌てて教授のオフィスに駆け込んでいました。暫く待った後で私の番。教授と話をし勉強の仕方を教えてもらい部屋を出ましたが、内心はかなり動揺していて気分も悪いしお腹も痛くなるし、もう何処を歩いているのか全く覚えてなく、学校の事務の建物に何とか辿り着いて仕事開始。それでもテストの事ばかり考えていました。まずい、まずい、まずい、まずい。。。。。。。。。。
ここから勉強にかなりの時間を毎日費やします、やりたくないとか言っている場合じゃない。それにピアノの練習も時間がかかる。もちろん仕事も毎日5時間。全部フル回転以上でとにかくやらなければっ。大学院の勉強の量が想像をはるかに超えたもの(毎日100ページは読まなきゃならないし←全部英語、ペーパーの内容もグッと上がって専門的で大学院レベル、そんなクラスが殆ど)で本当に卒業できるのだろうか。アメリカの大学は入学するのは簡単だけど卒業は難しいよね~、と言われますが1クラスでさえもパスできるのか。今までアーカンソーの大学の勉強練習で泣いていたのが信じられません。私のあの時の苦しみなんて今からしたら何だったのか。大学院に入学したばかりでまだまだ過酷な状態は続きますし、今まで以上の難しさに足を踏み入れています。今年も本当に早いものでもうすぐ2月。あと2か月くらいで🌸の時期?アメリカのカンザス州では肺炎が流行っているそうです。皆様体調には気をつけて下さいね。では次回のお話でお会いしましょう!Have a great week ahead !