ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.25

語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(アメリカ生活日常編)

こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。前回ではインディアナ大学大学院の勉強と練習の過酷さのお話でしたが、今日は私のインディアナ(アメリカ)での日常のお話をしてみようかなと思いました。

朝は6時くらいに起床。とは言っても猫ちゃんは朝が早いので4時くらいから起こされ続け、6時まで何とか粘ってから起きる。起きてニャン太郎とココちゃんのご飯、それから私の分。その後はリュックの中身をチェック、メールもチェックし、その日のクラスのスケジュール、仕事のスケジュール、リハーサルと自分の練習室時間の確認、どこかに空いている時間がないかを確認し、教授のオフィス時間も確認、質問事項を的確にノートにまとめ、無駄な時間がかからないように聞きに行く計画、そしてうわの空で聞いている英語のニュースを聞きながら身支度を整える。。。

朝ご飯は残念にもシリアルだったり、石のように固いベーグル。カチカチのベーグルをそのままではトースターに入れられないので包丁で半分に指に気をつけながらぎゅうぎゅうに切って無理矢理トースターにいれ、出来たら無理矢理トースターからボロボロになっても構わず取り出す。それをとにかく口の中にいれ学校に出発。(お弁当は前の夜に作っておいたものを何でもいいので持っていく)

幸いにも大学院に入る前に大学のオフィスで1年仕事をしていた為、その時にもらった学校内駐車場許可証が '学校職員用'のもの。音楽学部やオフィスの近くに駐車し(大学のキャンパスは果てしなく広いので歩く時間さえももったいない)、それから頭の中はピアノの事でいっぱいになりながら練習室に到着し素早く練習開始。玲子先生は先生のオフィスを門下生に使用してもOKとしていたので、先生のオフィスが空いていたらもっちろん先生の素晴らしいピアノで練習。そのオフィスで夜通し練習する生徒もいれば、私のように朝一番に乗り込んで使用させて頂くという手もあり。マスタークラスでの演奏が近い場合には朝一番に予約なしにリサイタルホールに行って、自分でステージのライトをつけ、カーテンを開け、ピアノを倉庫から引っ張り出し、即練習開始。しーんと静まりかえってひと気のないホール。。。すごくひんやりしていてゾッとする環境ですが、ここで数え切れないほどのインディアナ大学の生徒が懸命に練習をし、卒業し、何かのカタチで音楽のプロとして活躍をしている歴史あるリサイタルホール。私も音楽家のふりをして練習をさせてもらいました。。。

練習の後はクラスに行って授業を受けペーパーを提出したり、クイズやテストをしたり、教授のレクチャーを微塵も逃すまいとスゴイ勢いでノートに書き込んだり。クラスが終ったらアジア人の友達はそこに残っておしゃべりをしているけど私やアメリカ人の生徒はとっとと教室から退出。次が詰まってますので忙しいんです。大体授業は一日2、3クラス、それから練習、10分くらいでランチを終わらせ又練習。図書館で読まなければいけないものを読んだり、コピーしたり、楽譜を借りたり、教授のオフィスに行って質問をしたり。次から次へとすごい勢いでやるべき事を即座にこなしていきます。それから仕事(をしながら勉強)を5時間して、また練習。その頃には既に夕方になっているので空腹に耐えながら大体18,19時くらいまで練習。リハーサルがある場合にはもっと遅くなることもしばしば。でも音楽学部には時間が遅くても沢山の生徒がまだ練習をしているので安心して外に出られます。帰宅してニャン太郎とココちゃんの食事、自分の食事、勉強、やっと就寝。。。

アメリカに初めて留学で行った場所がアーカンソー州。アメリカ人もどこにあるのか分からないくらいの田舎町で日本人は殆どいなく、もちろん日本食も全く見かけず。。。渡米して直ぐに気がつきました、あー納豆が食べたいっ、お刺身もないのかあ。。。すぐにマレーシアからの生徒と仲良くなりチャイニーズレストランに行って中華を食べたり、学校のカフェテリアでは 'これ美味しいから食べてみたら?' と言われ、食べたものはナマズの揚げ物。まあまあ美味しいけど、ナマズって言ってくれなくても良かったかなあと思いつつ魚だからパクパク食べてしまいます。英語が出来るようになってからは、車の免許も取れ、町の運転の仕方が分かると、勇気を持って高速道路を使って首都アーカンソー州リトルロックにあるオリエンタルストアーに行ってお米を買ったり、いつから冷凍されているのか分からない納豆を買って食べたり、パッケージがとても怪しそうなアジアのスナック菓子を食べたり。そのオリエンタルストアーは過去にギャングたちの銃撃戦があったとの事で昼間しか行ってはいけないので時間を見ながら行き、ウォールマートで基本的には殆どの物を買いますが、アメリカンフードはとてもじゃないけど食べれないので、結局全部自炊。アメリカに20年居ましたが意地でも炊飯器を買わず、なべでご飯を炊いていました(炊飯器が異常に高い)。慣れると別に大したことではないです。アジア系の野菜はウォールマートでは人気が無く、大根はフニャフニャになっていて食べられなく、しょうがないのでそこに売っている新鮮なものを買う事にしていました。おかげでセロリも食べれるようになったし、アーティチョークも好き。とにかく腐って無ければ食べる、病気にならないようにちゃんと火を通して気をつけて自炊をすれば何とか生きていける国でした。

アメリカ人の甘いもの好きは半端じゃなく子供は大人に許可がないと食べれないくらい糖分をコントロールされています。私は基本的にアメリカにある食べ物にあまり興味がなく、甘いものも食べたい!とはあまり思いません。アメリカ人のキャンディーやチョコレートを口に放り込むはやさといったら。。。見てると余計食べたくなくなるんですよね。。。

洋服は大人サイズの2を着ていました。アメリカ人の女性の平均のサイズは12くらいだったかな。なので私の体は彼らよりかなり小さく(お腹も毎日緊張のせいで壊れたたし、なぜか何を食べてもいくら食べても太らない)、時には子供用の一番大きいサイズの服もOKでした。大学院のある町、ブルーミントンのグッドウィルでは月に1回お店にある物が全て半額になるセールがあったのでその時に洋服を買ったりしていました、お金が無いのでね。下着や靴下は日本から持ってきたものを使用。これだけはアメリカで売っている物は買えませんでした。というのは明らかにひどく質が悪い。。。

車は初めはHondaのプレリュード。中古で壊れ続けたのでHyundaiの車に変えても壊れ続け。いい加減故障しては修理してお金を払ってというのに疲れたので、正規の中古店に行ってトヨタの中古のカムリを買いました。マニュアル車で出来るだけシンプルな車、パワーウィンドウがありエアコンがありラジオが付いていて、それくらいの簡単な車を購入しました。アーカンソー州に住んでいる時に買ってアメリカ生活が終るまで動いていたので最低15年は活躍してくれました🚙。

引っ越しは基本的に自分の車に全ての物を入れて引っ越し。同じ町での引っ越しはこの方法で、アーカンソー州からインディアナ州の10時間離れている場所では軽トラックに荷物全部を載せての引っ越し。引っ越し業者には頼みません。大体そういう業者がアーカンソー州の田舎町にあったのだろうか。。。?

いつもどうしようかなあと思っていたのがヘアサロン。どこのサロンを試してみても仕上がりは酷いので結局ウォールマートの中のヘアサロンで髪の毛を切ってもらっていました。練習と勉強で時間もないので洋服も髪型もどんどん気にしなくなっていて、とにかく直ぐに切ってくれるウォールマートにお世話になりました。

病院には行かないようにしていました。かなり高額を請求されるので、ウォールマートで買った薬を早めに薬を飲むようにしていました。お店に売っている薬はかなり強いので普通の風邪は治ります。それでも行かなきゃならない時は大金を支払う事を覚悟しながら、そしてヤブ医者じゃない事を望みながら渋々行きました。

アメリカ生活は何一つ煌びやかじゃない、派手?Snobish? 冗談じゃない、どこを取っても微塵もそんな事は感じない、山奥に住んでいるよう、孤島に取り残された感覚でした。本気の本気で向き合わなければいけないアメリカ、日本での時間は渡米した瞬間から止まっていて全て過去の事。私の中では日本人という感覚はすでになくなり、アメリカ人と本気中の本気で接する、アメリカという国に対応し順応したいと心から思い願う、そして私が知り合ったアメリカ人たちは正直に、そして正しく答えてくれる。唯一なににも変えられない良い事、人生で一番の宝ものを感じ取りました。それは自分について考える事です。自分についてどこまでも考える。。。あの果てしない、何もない、まっすぐな高速道路を一人で車で走っていると、そのうち全ての事が単調になって思考はぼんやりし始め。。。ラジオから流れて来る英語の会話も聞こえてこなくなる、そこから自分の世界に徐々に入り込み、いったい自分は誰なんだろう、考えはどんどん幼少期まで遡ります。自分はどんな人物だったのだろう、なぜこの国に来た?なんでピアノを勉強してる? 自分に出来る事はなに?世の中のきらきらなトレンドやステレオタイプ、惰性に振り回されず、自分に正直に、本当にうそをつかずに出来る事はなに? どうやって生きていくの?大学院は本当に卒業できるの?ピアノに可能性はあるの?日本に帰る事はこの先あるの?アメリカでずっと生きていくつもり?。。。こんな事を何度もひたすら考えつづけ、一時的な決断ではない事を何度も何度も確認していました。結局の答えはこれ。どうしてもピアノの勉強がしたい。

そろそろ春が近づいていますが、今日の夕方から雪が降るとの事。その後の暖かい季節、そしてこの真間川に咲く桜の花も待ち遠しいです🌸次回のお話でお会いしましょう!See you next time, and hopefully your pollen allergy will go away soon!