今年の始まりに決めた事を守る
ある記憶の断片が力強い支えに
こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。今年の初めに’ある事’を自分の中で決め、それを本当に実行できるかどうか今まで自分を見張っていました☺
結局どうなったか?実行しましたよ、ちゃんと10月19(日)に。その前に何を決めたのかというと。。。自分の住まいのエリアではない場所でのソロ演奏です(伴奏や室内楽ではなく)、知らないところで知らない人の前での演奏。。。
ショパンやブラームス、シューマンの時代ではもちろん自分たちの国を出て演奏をする事は当然のこと。アメリカにいるピアニストの友人たちは自分たちの州を出て知らない場所での演奏をしています。なので私もどんな感じかなと思い、実行できる機会を探していました、10月19日(日)まで。。。
ずっとサロンのような小さな場所での演奏会が出来ないか場所を探していました。なぜか市川市には全くない、なぜ?ないものはないでしょうがないからこの周辺を探しました。西船橋駅から近い所にあるよう。。。近いけど西船橋には行った事がないし。
埼玉県にサロンを探す範囲を広げたら、少しずつ出てきました。(もちろん東京も調べました、数限りなくあるサロン、数限りない演奏家達が演奏をしているサロン、自分に合っているかどうか。。。)
埼玉県は私の実家がある所で親戚も浦和辺りに沢山います。浦和にある老舗うなぎのお店は私の母の方の遠い親戚?だったような。埼玉県を探していたら、浦和に2つサロンがありました。
浦和と言えば。。。留学前に留学資金を貯める為に浦和の伊勢丹で必死に仕事をしていたところ。遠い記憶が蘇ってきます。しばらく行ってないなあ。。。
駅の近くに1つサロンがあり、そしてバスに乗って行ったところにも1つサロンがあるらしい。その2つ目のサロンでは1年に1回、自由参加で演奏する機会を設けてくれる’音楽フェスタ’をしているらしく、10月19日(日)に開催をするとの事。
浦和はこの本八幡からはかなーり遠いですが、どうしようかなあ~。過去の音楽フェスタの詳細を読んでいるとそれ程参加をする事には難しくなさそう。やってみようかな、どうしようかな?と躊躇していてもしょうがないので。。。
音楽フェスタの責任者にメールをし、それから話がトントンと進み、実際にサロンの下見、サロンにあるピアノでの試演(Shigeru Kawaiのピアノ)、サロンの雰囲気を感じ取り、実際の演奏の向けて曲を2曲選び(ショパンとメンデルスゾーン)、お話をする内容を考え、そして実行に向けて着々と予行練習する毎日。
日曜日の当日はあまり天気が良くなく、生徒さん達とのレッスンを終え、軽く自宅でランチを食べてから本八幡の駅に着き、自分の楽譜や演奏用ドレスとシューズなど忘れ物が無いかを再度確認しながら、電車に乗り新小岩駅に着いたら。。。電車が止まりました。すぐに運転再開かと思ったら、結局20分停止。音楽フェスタの責任者にメールをし、もしかしたら本番に遅れるかもしれないです、と。
電車はゆっくり運転再開し、秋葉原乗り換え、浦和駅に着き、そこからバス。バスの到着もまた遅れ、こういう本番の日に交通状況は最悪。楽屋に入るべき時間には入れず、少しの隙間時間で楽屋に入り、本番の準備を整え。。。
でもなんです。実はある事を思い出していました。
インディアナ大学でのある日、とても素晴らしい音で演奏をするチェロの生徒とバイオリンの生徒とピアノの私でピアノトリオをしようと計画をしていました。
チェロの生徒さんは韓国出身の女の子。生徒の間では’とても上手い!’というチェロ奏者で有名でした。もちろん私はそのような素晴らしい音を作り出してくれる友達と演奏が出来ることを楽しみにしていました。
リハーサル当日、彼女は遅れてきました、まあ5分くらい(アメリカでは時間に厳しいので5分遅れることは誰もしていないです。)。
’チューニングをしたり、準備をするのに時間がかかるか、まあいいか’と思って、到着したばかりの彼女を見ていたら。。。
即座にチェロケースを開けて、すぐさまチューニングの合図の目を私に向け、私も即座にチューニングの音をならし。。。そしたら直ぐにもう’弾きます!’と一言も言わず、目でヴァイオリンの生徒さんとピアノの私に合図をし、分厚いコートも着たまま、髪の毛ぐちゃぐちゃのまま、リハーサルが始まりました。
いつも通り彼女のチェロの音は素晴らしいのですが、それより彼女の’プロ意識、プロとしての態度’には、お互い生徒だけど彼女のチェロ奏者としての意識はとても高く、圧倒されました。
私もあのようでなきゃいけない。
それ以来何かがあった時には彼女の事を思い出し、演奏前に何かあった時には即座に自分を立て直すようにしています、何があっても弾き続けないといけない。(タイタニックの船が沈む時にでさえも音楽家達が演奏を続けていた、そのような感じ?)
浦和のサロンでの本番の日、交通機関が遅れ、楽屋にもなかなか入れず、でしたがその時ふとこの事を思い出し、’別に本番に遅れたわけでもないから大丈夫よね、心の平常心を保てるかどうかは自分の問題だから’と平静を装い、本番での演奏をしました。
観客の方々はとても静かに真剣に聞いてくれていて、’観客のタイプって色々あるんだなあ’とも感じながら演奏をし、無事に終えることが出来ました。
毎回演奏を終った後の感覚は違いますが、今回の演奏後の感覚はなぜかズッシリしたもの。
地元で演奏をする事に何か特別な意味があったのか、自分のピアノを聞いてくれている観客から何か特別なものを感じ取ったのか、ショパンとメンデルスゾーンを弾いている時に今まで以上に本番で何かを表現できたのか、色々な理由はあると思いますが今回、知らないところでの演奏。出だしは色々ありましたが、とても良い経験でした。うーん、良い演奏の後ってなんとも表現できない感情が入り混じり、1,2日ピアノが触れないのですが、少しずつ現実に戻りながらピアノの練習を始めると、’やっぱりピアノっていいなあ。。。’としんみり感じています。
2026年の目標も考えていて今から実行できるように練習をしているところです。’新年の抱負’として今まで’ダイエットするぞ~’など色々考えては成功にはいたらず。でも今回はやり遂げることが出来たので自分でも満足満足デス☺
’やって良かった’と思えた事、演奏が終わってから自分の感覚がまた新しく別の視点からピアノを考えることが出来るようになったこと、貴重な経験でした。
これからも未知の事に沢山チャレンジしていきたいところです。では又次のお話でお会いしましょう!Have a great week and stay warm !
