ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.30

語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(インディアナ大学編)

こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。インディアナ大学での修士学位のための自分のリサイタル。あっという間に終わりました、無事に。。。

嬉しいような、ホッとしたような、本当に演奏を自分がしたのか、あっという間の時間、玲子先生との勉強もこれで終わってしまうのか、色々と頭の中をグルグル何を考えているのか分からないけど、演奏後に1週間くらいはボーっとしていました。異常な緊張をしていたのでしょうね。。。

これで終わってしまうのはあまりにもあっけないし自分のピアノの上達には物足りなさすぎる。これで大学院は終わりだけど、次にPerformance Diplomaという過程に入りたい旨を玲子先生に伝えました。このディプロマは大学院程勉強は大変ではない、ゆるい大学院のようなもの? ...大学院を卒業と同時に博士課程に入れたら良かったのですが、そんな事はとてもじゃないけど余裕が無さすぎて無理。なのでインディアナ大学院生の多くはこのPDに入って博士のオーディションに向けて練習を開始します、そして私もその一人。。。ゆくゆくはアメリカのどこかの大学でピアノを教えることが出来たらなあ。。。

玲子先生はPDに入る事はOKとはしつつ、博士課程に行く事には賛成はしませんでした。理由はクラシック音楽は結局現実離れし過ぎてる、理解されることは難しい、ピアノを今度は教えたらどうかという事でした。先生の意見は聞くものの私としてはまだインディアナ大学に居られてピアノを勉強できるチャンスがあるなら逃す手はない、という思いが強くあり後悔はしたくないので、そのままPDに入り又ピアノ勉強を続ける計画を立てました。

結局PDはゆるいとは言え大学院と違うところは、音楽理論や歴史などの非常に重要でタフなクラスがないだけの事。相変わらずプレゼンもテストも提出物も全て英語で膨大な量の資料を読み覚えながらの毎日+ソロ練習+伴奏練習+室内楽練習+5時間の仕事などなど。

こんなにまでして、自分を追い込んで何故ピアノの勉強をしたいのか。。。あの時に確実に分かっていたことは過酷だったとしてもこんなにピアノ勉強のチャンスがあるのは今しかない。この大学を一歩出てしまえばピアノ勉強のチャンスはもうない、と思っていました。

そして私を取り巻く環境。音楽を、ピアノを学ぶには素晴らしい環境です。私なんかが超高度なレベルでのピアノ勉強が出来る、周りの友達も素晴らしく上手い、玲子先生も本当に心から尊敬している、いくら過酷な勉強や練習でも自分の為と思えば、わざと非常に厳しい状況に自分を置く事を自ら自然と選んでいました。

嘗てアーカンソーの大学で知り合った飯沼先生が’一生懸命努力をすれば、その後から何かは繋がってくるから’と。多分その言葉が常に頭の中にあった気がします。

今度はどこかの大学の博士課程に入学する為のオーディションに向けての練習が始まりました。選曲をしなければ、そしてどこの大学の博士課程に入りたいのか。。。

まず選曲はシューマンの幻想小曲集op.12とベートーベンソナタの7番にしました。初めての博士課程への挑戦。博士課程に入学するためには大体2年費やすとの事なので、初挑戦は1校のみ、University of Cincinnatiにしました。来る日も来る日も博士の学位のためにこの曲をずっと練習。大学院リサイタル前から続いている不眠、首肩の痛みは最悪の状態です。それでもひたすら続けるピアノ練習。先の見えない長い、ながーい道です。

アメリカでの毎日の食事は相変わらず質素。近くのスーパーマーケットで安売り、売れ残りの大量のパンが無造作に入れられた袋があり、それを毎朝食べたり、オリエンタルストアで買った冷凍の納豆を半分にしながらもったいなく食べたり。人参も生を縦長に切って、そのままボリボリ。ブロッコリも生でボリボリ。唯一楽しい事は猫のNちゃんとCちゃんと一緒に遊ぶこと、近くの古着のお店が月に1回全品が半額になるので、その時だけ洋服を買いあさったり。車はとても重要な交通手段なので、いつも問題はないか気を配り、請求書なども不当な請求をされていないか目を光らせ、請求をされている場合には会社に電話をかけ、オペレーターと話をするために電話口で2時間待ちをしたり、インフルエンザと胃腸炎にかかった友達を救うために911にダイヤルし、救急車を呼んで、病院の救急に何時間もいて怖い思いをしたり、猫のCちゃんの体調が急変し、大雨の中高速道路を45分も飛ばし救急動物病院に行き、Cちゃんの命を救ってもらったり。そう言えばトヨタの車を買った時に契約書に問題があり、買ったところに電話をして修正するように交渉しても修正してくれず、挙句の果てには日本のトヨタの本社に電話をして、経緯を全部話して、その人からアメリカのトヨタのヘッドクオーターのオフィスの人と話をしてくれて、やっとやっと!契約書を修正してもらったり(約3か月毎日契約書を修正するよう交渉していました。)

ピアノ練習もそうだけど、ピアノ以外の所でもあらゆる方向から問題が降ってくるので、とにかく感情的にならず、怒らず、冷静に処理。落ち着いてピアノに集中。。。

この時点でアメリカ生活12,13年は経ってはいても、今まで以上にタフでないとアメリカでは挫けそうです。さてこれからどうなるのやら、もうピアノ以外の問題は勘弁です。では次回のお話でお会いしましょう!Have a great week ahead !