ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.28

語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(インディアナ大学編)

こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。2025年4月20日にここでの演奏会も終わり、ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ、徐々に夏に近づいている気配がしています。

ちょうと今頃、アメリカの大学は春学期が終るので、留学生たちは終わってすぐに自分の国へ夏の間帰国したりで、私もたまーにですが日本に帰国していました、2週間くらいだったかな。日本に帰っても結局家でピアノの練習を少しして、日本食の買い出し(4万円くらい買い込み巨大なスーツケース2つ+小さいスーツケースにぎゅうぎゅうに詰めてアメリカに持って帰ります。)、少しの観光やアメリカ人の友達にお土産を買ったり。大学の事務の友達、ジェニファーには日本の日傘を買った事もありました。大学のある町、ブルーミントンの夏は日差しがすごくて彼女は肌がやたらと白いのでちょうどいいかなと思って。日本に帰って逆カルチャーショック、アメリカに戻ってきて文化の違いで鬱状態にならない程度に日本滞在を済ませアメリカにとっとと戻り、また練習と勉強と仕事。ずっと毎日それだけ。。。。。。

自分の大学院のリサイタルをそろそろ考える時期になってきました。ピアノは好きだけれど人前での演奏は躊躇します、だってスゴク緊張するし。’演奏をしなければ何のために練習をしているの?’とよく耳にする言葉ですが、分かってはいても緊張するんです。でも大学院の学位を取る為にはもちろん絶対避けては通れない道、はああ。。。

結局、玲子先生と話をし、リサイタルは1年先に延ばすことに決定しました。大学院2年間だけではインディアナ大学大学院の卒業生のレベルには達していないし、私自身も先生についてまだまだ勉強をしたい。大学院3年目は自分のリサイタルの準備を中心に考えたレッスンになりました。

まずは選曲から。ベートーベンのピアノソナタ4番(約30分)とシューマンのHumoreske(30分)にしました。とにかく一刻も早く弾けるようにして全部覚える。曲を仕上げる過程のここの部分はいち早く終わらせなければいけません。そこからやっと曲作り。この時点では全く自分で’曲を作る’という意味が分かっていませんでした。ある程度は出来ていてもそこからがよく分からない、というか何をどうしたらいいのか分からない。玲子先生は必死に教えてくれます、ピアノを弾くにあたっての体の使い方、音の作り方、音のきき方。。。相変わらず鈍感すぎて感じ取れない。それに先生の前で弾く事でさえも極度に緊張をしていたら、どうやってステージの上で自分中心のリサイタルなんて出来るのか。。。

もともと人前に出るのも、皆の前でプレゼンテーションをするのも嫌い。大学で英語で全部プレゼンテーションをしなければいけない時はたまにありましたが、何日も寝れず覚悟を決めて必死の思いでなんとか凌いでいました。それに余計な事をきっと考えているのでしょうね、自分の容姿だとか喋り方とか声のトーンとか。そのような中でも、徐々に分かってきたことがありました。

皆の前で演奏をする。。。チェロの生徒の伴奏者としてや私単独でマスタークラスで弾いて、上手くいった時。アメリカという国では全く外見やどれだけ英語が喋れるや喋れないは関係ないらしい。素晴らしい演奏をした時には拍手もすごいし、人が私を見る目が違うんです、彼らたちが醸し出している雰囲気も違う。。。その場の雰囲気がなんかガラッと変わってるし。その逆ももちろんあり。その時は何も言われる事なく、ササッと皆去っていきます。。。

ある時は上手く演奏できたかもしれないけど、それが毎回続くわけではない。あまりにも演奏の程度が不安定すぎる、どうしよう。。。

曲は取り合えず弾ける、リサイタルの日にちも何とか決めた、あとは練習と緊張のコントロールをするだけ。緊張の度合いによって演奏の良し悪しが格段に違う事になるとわかったので、とにかく緊張をどうコントロールするか。リサイタルの日が決まってからは、毎日リサイタルをするホールで朝の6時から練習をしていました。ホールを使用していない事が分かると直ぐに入室して(予約をする時間さえもない)、分厚いステージにあるカーテンを開け、スポットライトをつけ、直ぐに練習です。とにかく他の人がホールを使用する前にこの場所に出来るだけ長くいて慣れないと、です。それにしてもホールでの練習は居心地が悪すぎる。ひんやりしていて、人の気配が全くないし、広くて暗いし、スポットライトは明るすぎるし。意味もなくドキドキしてくるしお腹も痛くなって直ぐにトイレ。でもこのホールで自分の学位がかかったリサイタルをするのだから、とにかく慣れないと。この場にいるだけで緊張してたらどうするの?演奏なんて出来るわけないじゃない、と自分に言い聞かせ、ホールがまるで自分の家のように居心地が良いように感じられるまで毎日毎日朝の6時から、ある時は深夜にも学校に行き、ホールに入り、同じことの繰り返し、場に慣れる練習をしていました。

もう練習にも疲れ切ってフラフラ、背中も腕も手首も痛すぎ、そして心配しすぎてる、全く眠れない、でも取りあえず倒れないように大学に毎日行く日々。ジェニファーとご主人にもホールに来てもらって演奏を聴いてもらったり、マスタークラスで何回も演奏したり、近くの教会で演奏させてもらったり、リサイタルで着るドレスと靴で練習してみたり。自分で思いつくあらゆる手段を使ってリサイタルを成功させようとチャレンジし続けます。果たしてリサイタルはどう終わるのか。。。次回のお話でお会いしましょう。See you next time and have a nice week ahead!