ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.27
語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(インディアナ大学編)
こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。アメリカ生活もここまでくると10年以上、インディアナ大学のある町にも、大学に通う道のデコボコも、大学の建物も見慣れてはいても。。。
インディアナ大学のある町はブルーミントンという町で学校の周りは国際色豊かな感じです(アーカンソー州とはちょっと違う感じ)。レストランもアフガンレストラン、アメリカン、ベトナム、タイのものなど沢山あり、非常に個性的です。私はお金がないので外食はせずに、徹底的に自炊。家にいてゆっくり出来るし、ニャン太郎もココちゃんもいるし🐈家の居心地は最高です。何回か引っ越しはしましたが、私が住んでいたのはもちろんアパートで、アメリカなのでそれなりに広いですが100平米くらいで月々650ドルくらい。水道代込みで洗濯機はついてないので、週1回アパートの敷地にあるランドリー部屋に行き、コインを入れて洗濯をしていました。インディアナ大学は勉学に非常に力を入れていて活気のある大学で、私が在籍していた時には経済学の教授がノーベル賞を取ったり、音楽学部は全米のランキングで2位だったり、色々な学部が全米ランキングで上位に入る、キャンパスの美しさでさえもランキングを取り、生徒にとってとても環境が素晴らしく、能力を最大に発揮させてくれる大学です。
生徒の能力を最大に発揮させてくれるという意味、それは教授たちのレベルが非常に、いや、異常なほどに高いのです。プロ中のプロが教授として大学に在籍して、彼らの知識を私たちに伝授してくれるはいいものの、あまりにもプロ中のプロで容赦は全くないので、こちら生徒、ただの人、は本当に全身全霊を注ぐ、毛穴の一つでさえも集中しなければ、眼球さえもテキストブックから逸らせられない程、本当に大変な事になるのです。例えば、私はピアノ演奏の選考。それでも学位に必要なクラスに音楽史を取らなくてはいけない。その教授と言われるプロは全米で講演をしたり、教科書を何冊も書いていたりで、私たち生徒に要求するもの、インディアナ大学の生徒として出来るだろう、と思われるものは計り知れなくトコトンまで緻密なもの、生徒一人一人の我慢の限界をはるかに超えさせるものです。大学はいつでもどこでも生徒にわき目も振らせない、余分な時間を作らせない、余計な事を考えるなら勉強、自分の人生について徹底的に考える、ハードな授業内容になっていて。。。なので私のインディアナでの生活は非常に地味。ピアノ、勉強、仕事だけ、それだけしていました。全ては自分自身を修正、強化、そして上昇のためだけです。
そんな場所にいる毎日。。。相変わらずピアノは手探り状態。玲子先生に音と音の間の聞き方、休符の意味、ハーモニーの聞き方など、音楽を作るにあたって数え切れないほど私に抜けているものを的確に指摘し、あの手この手を使って毎週レッスン時に説明して頂き、私は挑戦し続ける。。。なんとしてもどうしても上手くなりたい。。。24時間ピアノの事だけ、道を歩いている時も運転している時も仕事中も、どんな時でもピアノの事だけを考え続け,体の細胞の一つでさえもピアノに集中して欲しいと願い続け、来る日も来る日も毎日ピアノの練習をしてやっと少しずつですが曲を作る、私のピアノの音にやっとですが、変化が出てきたようでした。
先生は’じゃあ次の段階に進むんだけど。。。’などのコメントがあった時にはそれだけで本当にとてもとても嬉しくて、よりやる気になったり、マスタークラスで演奏をすると友達から’前回より良かった’とさらっと言ってくれたり、チェロの生徒の伴奏でチェロの教授の部屋で演奏をした時に私が弾いたピアノを褒められたりと、少しだけでも良いフィードバックがあるとよりやる気が出てくる、そんな瞬間もありました。
何を考えたのかある日、’そういえば。。。バレエの学部あったよね、この大学、どんな所なのかな’と思い、興味本位で学部に立ち寄ったら’ピアニスト募集’の仕事の広告が壁に貼ってあるのを見つけました。何だ?と思い、読んでいると、大学がおこなっている毎週日曜日の朝の子供のバレエの練習にピアニストが欲しいとの事。時給は普通でしたが取り合えず応募してみました、何でもやってみないと分からないかなと思って。
結局働かせてくれるとの事でしたが、これがまた全くの別世界。バレエ用の曲は全く練習をしたことが無く、というのは曲自体は難しくないのですが、バレエの事は全く知らないので、どのダンスでこういう雰囲気の曲というのが決められているみたいなのですが、ダンスの種類さえも全く分からないし、バレエ用語も知らない。。。なので取りあえずスタッフの人に用意してあった楽譜をコピーさせてもらい、毎週日曜日はバレエの練習用のピアニストとして新しいアルバイトも始めたりしました。
ただでさえかなり忙しいのに、またやる事を追加。なぜか’今のうちにやっておかないと’という気持ちがいつでもあり、伴奏の仕事を無料で引き受けていました。あらゆる楽器の伴奏で、学位の為のリサイタルに一緒に演奏する伴奏者として、相手の練習やレッスンの為の伴奏としても、とにかくチャンスがあればYESと全部引き受けていました。ソロとは全く違ったピアニストとしてのスキルが必要になり、私の役割はピアニストとしてかなり重要なのでソロの曲と同様に必死に練習をし、相手のレッスンにも行き、同じステージに上がりリサイタルをこなしていました。(特に現代曲はシャープやフラットだらけなので、どの音が正しい音なのか分からなかったり、速い曲になるとそれなりの練習時間も必要になりました。)
あまりにも忙しすぎ、ピアノを上達させなければいけないし、奨学金を失う事は出来ない、勉強の成績も良くない、と常に緊張の連続で、次第に眠れなくなりました。毎日毎日寝ているのか、寝ていないのか分からない、心臓の鼓動がすごく速くてギュッと締め付けられる感じが頻繁にあります。首と肩の凝りはどんどん酷くなっていき、特に首は常に誰かに締められているような感覚です。寝れない、全く寝れない、毎日寝れない、どうやっても寝れない、時計を何回も確認し、気がつくと朝の3時半、それでも眠れない。。。でもやり続けなければいけない、ピアノを弾き続けないと、ここで辞める訳にはいかないし、そんな事をしている人なんていない。。。話をする力もなくなり、毎日頭は音符だらけ。目の前にはないはずの大量の音符が見えたり、ピアノの音が常に頭の中にどんどん流れ続け、無意識に練習室と仕事場に向かい、狂気と正気の間を行き来している感覚です。
毎日フラフラ、背中、首、肩はガチガチに固まっていながら大学に通い続け、そろそろ大学院2年目。自分のリサイタルなんて出来るんだろうか、先生はなんて言うだろう。。。インディアナ大学は学位のかかったリサイタルを生徒がする場合には3人の教授の許可が必要で、オーディションがあります。というのは、インディアナ大学側としては学校のレベルを落としたくない、このレベルの生徒がインディアナの卒業生なのかと大学側は外部に思われたくないし、インディアナ大学の卒業生です!とは言ってほしくないんです。なのでオーディションを受ける必要がありますが、そのオーディションさえも受けていいよと玲子先生は言ってくれるのか。。。
憧れつづけやっと入学できたインディアナ大学大学院。未知の怖い事だらけ、新しい事だらけ、何のサポートもなし、カウンセリングに行くも全く意味なし、だって置かれている状況は私しか分からないし、感じ取れない、たとえカウンセラーだったとしても。でもまだまだ私の挑戦は続きます。こんな私でも本当の意味で頭はおかしくならなかったし、ピアノを上手くなりたいと願い続け、努力し続けると何かしらの結果は出て来るものですね、嬉しい限りです。今週、2025年4月の最初の週は毎日雨つづきで、せっかく咲いた桜の花が散らないかちょっと心配です。毎日家に来る偏食猫のチピ君は雨が本格的に降り出す前に必ず食べに来ます、動物のカンって凄いなあと感心しています。では次回お会いしましょう!Stay safe and see you next time !