ハプニングだらけ、成長をさせてくれたアメリカという国 vol.20

語学留学、大学、グリーンカード、ピアノ、仕事の20年(インディアナ大学編)

こんにちは。Ichikawa Piano Schoolの福山です。新年明けましておめでとうございます。今年の1月1日はお寿司を食べた後、この近辺の産土の神である白幡天神社にお参りに行き、その後で宮久保にある白幡神社にも行きました。神社のはしごは良い事なのかは分かりませんが白幡神社でおみくじをひいたら’小吉’。。。まあ悪くはないからいいかと縄に括り付けて帰宅しました。

このお正月の間に文化的なものに触れたく美術館に行ってレンブラントを見たり、ピアノのYoutubeを聞いたりしていました。千葉県にある川村美術館は数か月後に休館してしまうとの事で、1月2日に早速行ってきました。ピカソの絵もありましたが、レンブラントが描いた’広つば帽を被った男’という絵。広ーい大きな薄暗い部屋の向こうの方に明かりがポッとともっていて、そこに絵がありました。絵の中にいる男の表情にくぎ付けになりました。意地悪そう?親切そうな人?この人はレンブラントの友達なのか?どういう人物なのか?どういう性格の人なのかとレンブラントの描いたその表情から推測していました。他の絵を見た後にまたレンブラントの絵に戻ってきてもう一度みたら、’そんなに悪そうな人ではないかも?結婚していたのかなあ、奥様は?’など考えたり。。。YoutubeではKate Liuという2015年のショパンコンクールで3位になったアメリカンシンガポールのピアニストのビデオです。彼女の演奏はとても想像力に溢れていて’あ~こんな感じにピアノを弾いてもいいんだ。。。’と、より自分の今練習をしている曲を如何に想像溢れるものに出来るかと考えさせられていました。。。

さて前回のお話の続きでインディアナ大学大学院に入りたい、どうしても。練木玲子先生からレッスンを取り始め、本物のクラシックピアノを勉強したくオーディションに向けて練習に励んでいました。練習とはいってもタダがむしゃらに練習をすればいいってものでもない。レッスン中に玲子先生に言われたことを何一つ逃すまいと帰宅してからレッスン中に録音したものを楽譜に書き留め、又練習。いくら指で弾けていても音楽性の中身がなければただの音の繋がり。。。ある日先生は’マスタークラスで弾く?’と私に聞いてきました。まあいつかはそういう事になるだろうなとは思っていたので’はい’と返事はしたものの、全く気が進まないし、本当の気持ちは絶対にやりたくない。分かってるんですよ、一応、今まで自分が嫌だなやりたくないなと思った事はすべてやって来たしやらざろう得ない状況だったし、自分の為だと思って勇気を振り絞ってやってきました。大失敗も色々あったし、まあまあくらいな事は1つや2つ、大成功は全くなし。物事って失敗するのにも成功するのにも沢山の要因が絡んでくる事はこの時にはあまり分かっていなかったかも。でも大失敗の経験はあるからそれと同じようにしなければいいだけくらいしか物事は分かっていなかったと思います。

マスタークラス当日金曜日。昼間はもちろんインディアナ大学のAdmission Officeで8時間仕事をしてから音楽学部に行き練習を少しして、夜6時からマスタークラススタート。この時は人前で弾く事は大嫌いで大嫌いでしょうがない時。アーカンソーの大学でも人前での演奏の経験はありますが私の緊張は人とは比べものにならないくらいの極度の緊張。恐怖と言っても言い過ぎではありません。高い所にいるのが嫌いな恐怖、虫恐怖、血の恐怖とか色々あると思いますが、私の場合は人前での演奏。。。知らない人に話しかけたり知らない場所に行ったりする事は全く問題ないのですがこれだけは克服できない。舞台に上がると頭がクルクルしてきて、舞台にあるピアノの椅子に座ると後ろに倒れてそのまま床に頭をぶつけて失神するのではないかと思うほど。気分は半分車酔いのようでとにかく心臓の鼓動が早いし指は震えるし。。。

今まで散々緊張についてリサーチして試しました。呼吸法、ピアノを弾く時の腕の重心を下にとか、緊張しないように薬を飲むとか。どれも全部試したけど全く効かない。そんな中でもマスタークラスで弾きました。曲は弾き終えたけど体や首、肩がガチガチで苦痛の中での演奏でした。それはもちろん見ている玲子先生の生徒さん達はもちろん分かっています。彼らの顔を見ると’大丈夫?’と心配しているような人もいたりハラハラしている顔もあったり。最悪の自己嫌悪でそれでもまだその場に居続けなければいけない。玲子先生のレッスンが彼らたちの前で始まりました。1度演奏を終えると何故かホッとしてレッスンが始まったら彼らの事は忘れて上手く弾けるようにはなったのですが、それでもその自己嫌悪の気分はそう簡単には拭えません。マスタークラスは約1時間半くらい続いて他の生徒さんの演奏も聞き、玲子先生のレッスンも聞き、無事に初めてのマスタークラスでの演奏は終わりました。その自己嫌悪の中でもです。何を考えたのか玲子先生を帰り際に呼び止めて、私の演奏について言っていた事がよく理解できなかったので教えて下さいとお願いしました。またその場で短いレッスン開始。しつこいと思われていたかも知れませんが私はどうしてもインディアナ大学の大学院に入りたいのです。そのレッスンも頭では分かっているけど実際には自分では出来ない、弾けない悔しさ。その日は疲れ果ててニャン太郎とココちゃんに’ただいま~!’と言いながら帰宅し、ご飯を食べてシャワーを浴びましたがお風呂場でなぜか涙が出て来るんです。自分で弾けない、出来ないもどかしさ、悔しさ、ただひたすら泣きました。。。

次の日の土曜日は仕事が無いので学校に行って一日中練習です。オーディションがあるので一日6,7時間は練習。家に帰ることなくお弁当を持って、休憩はピアノの椅子の上で目をつぶるくらい。ずーっとずーーーっと練習室にこもりっきりです。日曜日も同じように練習、そして月曜日から又8時間仕事をして帰宅して家でピアノの練習。オーディションが迫っているので又マスタークラスでの演奏、散々の演奏で終わり、自己嫌悪の繰り返しをしていました。それが続くこと、半年以上。。。

ある日インディアナ大学大学院へのオーディション申し込みをし学部から手紙が来ました。次の年の2月の*日、*時から*の場所でという案内でした。あ~いよいよだ、手紙をもらっただけで気分が悪くなってきます。私は大丈夫なのだろうか、失敗は許されない、どうしてもどうしても入学してピアノの勉強がしたい、どうしてもどうしても。。。

今までも英語の問題やアーカンソーでの大学の勉強でかなり苦しい思いをしてきましたが、インディアナ大学のオーディション準備は今まで以上にさらに酷く苦しいものでした。オーディションはどうなることやらです。オーディションのお話などを次回でしようと思います。インフルエンザ、コロナが流行っている時期ですので皆様ご自愛ください。では次回お会いしましょう!Have a nice week !